訪問介護でも食事介助のコツは押さえておくことが大切です。なぜなら、食事介助をする際は、介護者が立ち位置と姿勢を間違えると、要介護者に誤嚥の危険性が高まるからです。食事介助をスムーズに進めるには、どの位置に立ってどのように食べさせてあげれば良いのでしょうか。まず基本情報として、食事をするときは誤嚥の危険性が低く、飲み込みやすい前かがみの姿勢がベストとされています。食事介助では最初に前かがみの姿勢を作ってあげて、食事中はその姿勢を崩さないように注意しましょう。
次に立ち位置ですが、要介護者の横に並んで、目線の高さを同じにするために腰を落とすことが重要になります。横に並ぶことでテーブルの上のお膳を同じ方向から同じ目線の高さで見ることができるので、要介護者が次に食べたがっている物の予測がつきやすくなります。右と左のどちらに立つか、という疑問が生じるかと思いますが、それは要介護者の利き手側に立つのが正解です。利き手側に立って、下から上に向かって食事を口に運んでいきましょう。そうすることで、要介護者は自分で食べるときと同じような感覚で食事ができるので、介助を受け入れやすくなります。立ち位置を横にしたとしても、介護者が立ったままの姿勢で食べさせるのは避けましょう。高い位置から食事が運ばれてくることで、要介護者はあごを引かずに食べ物を口の中に入れることになり、誤嚥が起きやすくなるのです。
ちなみに要介護者の正面に立つことは完全な間違いとはいえませんが、あまり推奨されていません。要介護者は正面からの視線を感じることで、監視されているような気分になることがあるからです。