訪問介護の仕事では、身体の不自由な利用者の自宅で日常生活に必要な様々な支援を行うことになります。その中でも特に重要な位置を占めるのが、食事の介助です。食べるという行為は、人間が生命を維持する上で欠かせないもの。それだけでなく、美味しい料理を五感で味わい、大切な家族や仲間とも一緒に食事をすることで、楽しみや満足感から生活にもメリハリが生まれます。もし食べるという行為が不自由になれば、日常生活に支障をきたすことになるのは明らかでしょう。在宅介護では自立した動作ができない利用者に対して、様々な方法で食事介助を行います。
ただし利用者それぞれの身体状況や自立度、さらに人生で培ってきた食習慣などが異なるため、食事介助をする前に十分に把握する必要があります。そして利用者の状態に合った食事介助グッズを準備して、スムーズな食事介助の実現に努めることも大切です。例えば利用者の握力が低下しているなら、バネ付きの箸やグリップが太いスプーンを用意するのが理想でしょう。また、うまく握ることのできない利用者には、手のひらに固定するホルダーの付いたスプーンやフォークなどがあります。さらに片マヒの利用者の場合には、片手でもすくいやすい傾斜のあるお皿や、食べこぼしても大丈夫なように、特殊なポケット型ガードの付いたビニール製のエプロンなどがあるので、介助で利用してみましょう。
どんなグッズを使用するにしても、介護職が利用者の身体状況や食習慣あるいは当日の体調などを、あらかじめよく把握しておくことが重要です。それらを把握しつつ、上手にグッズを利用すれば、よりスムーズな介助を行うことができます。介護に役立つグッズについては、【介護にまつわるお役立ちグッズ事典】にも記載されているので参考にしてみましょう。